龍涎香についてです。
2007/09/03 日記<龍涎香>
龍涎香
龍涎香(りゅうぜんこう)あるいはアンバーグリスとはマッコウクジラの腸内に発生する結石であり、香料の一種である。灰色、琥珀色、黒色などの様々な色をした大理石のような模様のある蝋状の固体であり芳香を持つ。
龍涎香の内部にはマッコウクジラの食料であるタコやイカの嘴が含まれていることが多い。
そのため、龍涎香は消化できなかった嘴を排泄するために分泌物により結石化させたものと考えられている。マッコウクジラから排泄された龍涎香は、水より比重が軽いために海上に浮き上がり海岸に流れ着く。
商業捕鯨が行われる以前はこのような偶然によってしか入手ができなかったため非常に貴重な香料であった。
商業捕鯨が行われている間は鯨の解体時に入手することができ、高価ではあったが商業的な供給がなされていた。
ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」には鯨の解体時に龍涎香を入手する様子が記されている。
1986年以降商業捕鯨が禁止されたため、商業捕鯨開始以前と同様に偶然によってしか入手できなくなっている。龍涎香がはじめて香料として使用されたのは7世紀ごろのアラビアにおいてと考えられている。
アンバーグリスの名はアラビア語のアンブラに由来し、これは火に掛けて使用する香を意味する語であった。
琥珀(アンバー)も同様の使用法で使用されていたため、同じ語が使用されていた。
後にヨーロッパに伝わった際に琥珀と区別をつけるためにその外観から、灰色を意味するゲルマン語のグリスが語尾に付与されて龍涎香となった。また、龍涎香の名はこの香料が中国に伝わった際に、その良い香りと他の自然物には無い色と形から龍のよだれが固まったものと考えられたためにこの名で呼ばれるようになった。
日本に伝来したのはこの語の記録が室町時代に残っているため、この頃であろうと考えられている。香料として使用する場合にはエタノールに溶解させたチンキとして使用された。
香水などの香りを持続させる効果がある保留剤として高級香水に広く使用されていた。
また、神経や心臓に効果のある漢方薬としても使用されていた。龍涎香の構成成分の大部分はステロイドの一種であるコプロスタノールとトリテルペンの一種であるアンブレインである。
このうちアンブレインの含量が高いものほど品質が高いとされる。
このアンブレインが龍涎香が海上を浮遊する間に日光と酸素によって酸化分解をうけ、各種の香りを持つ化合物を生成すると考えられている。
これらの香りに重要な化合物としては[3aR-(3aα,5aβ,9aα,9bβ)]-(-)-dodecahydro-3a,6,6,9a-tetramethylnaphtho[2,1-b]furan(Ambrox、Ambroxanなどの商標で知られている)や(2S,4aS)-(-)-2,5,5-trimethyl-1,2,3,4,4a,5,6,7-octahydronaphthalen-2-ol(Ambrinolの商標で知られている)などが知られている。
これらの化合物は合成香料として製造されており、龍涎香の代替品として使用されている。
また龍涎香には含まれていないが龍涎香と類似した香りを持つ化合物も多く知られており、それらも龍涎香の代替品として使用されている。
comment(" >0) trackback(" >9)